こんにちは。あなたの夢をかなえる目標達成コンサルタント!どっしり塾のこうめいです。
この記事は2020年5月に公開された記事を大幅編集して皆さんにまたお届けしています。行政書士になられたばかりの方などはぜひ参考にしてくださいね。
行政書士になって実務の相談を受けたのはいいんだけど……まったくやったことがない業務だからどうすればいいんだろう?という風に悩むことがあると思うんですね。
特に開業当初の方は毎日のようにそんなことで悩むと思います。
ただ実は先輩たちも行政書士くらい業務が広いと「実務で分からないことがあるのは当たり前」だと思っているので、一番大事にしているのは知らない知識をどうやって手に入れるか?というテクニックだったりします。
さて、今日は行政書士が実務で使っている自分がやったことがない業務にチャレンジするときの5つのやり方について話をしてみます。
■私がやったはじめましての実務への向き合い方
2020年版には書いてなかったんですが、実務の勉強の仕方の前に私自身がはじめましての実務の仕事が来たらどうしていたかをちょっと話してみようと思います。
まずはじめましての依頼が来たときなんですが、私の場合は完全予約制の事務所でしたので事前にメールなどでお問い合わせをいただいた時から準備がスタートしました。
メールでおおよその悩みやどういうことを解決してほしいのかという話を私は面談の前にある程度教えてもらうようにしていました。
そうすれば、お客さんとの打ち合わせまでに情報収集やプレゼンの準備ができるからです。ちなみに私は行政書士時代の面談後の成約率はほぼ100%でした。
これは、お客さんとの打ち合わせが3日後とかであればその間にガッツリ準備をしていたからです。
もちろん毎日仕事が莫大な量飛び込んでくるような事務所経営のところではできない戦略なんですが、開業当初のお客さんが少なく時間が余っている時代にはこういう工夫ができるのでぜひやってみてください。
話は戻して、この面談までの数日間というのが命でここで、鬼のように情報収集を始めるわけですね。
具体的には私は、
- ネットでおおよその知識を確認
- 管轄の省庁のHPや書式などを確認
- 業務に関連のある本を本屋さんにダッシュで買いに行って
- それらの知識を整理するのもかねて業務のマニュアル(お客さんに仕事の流れを説明するためのA4の用紙数枚のカンタンなもの)を作成
- 再度メールを確認してお客さんに提案できる知識を再度確認
- 面談へ
こんな流れでやっていました。
私はあまり自分を器用だと思っていないので、インプットだけでなく説明用のマニュアルを作ったりすることでアウトプットしてお客さんに説明もしっかりできるように準備して臨んでました。
こうやって書くと大変そうに感じるかもしれませんが、大変なのは最初だけで、だんだん相談を聞くだけで「どこどこの役所だな」「ああ、このあたりの法令をチェックすればよさそうだな」とわかるようになります。
そうするとかなり時間が短縮されるので、数時間で準備できるようになります。
どうしても準備が間に合わない時は、お客さんに正直に「依頼いただいてからその手続きを調べているんですが、まだ確認したいことがあるので二日後に改めてご連絡させていただいても構いませんか?」といったようにお願いするのも一つの手です。
数時間で調べられるような知識も知らないのではだめですが、ある程度しっかり準備したうえでまだ時間が足りない時はうそをついても仕方ありませんので。
絶対にやったらだめなのが知ったかぶり。簡単に「デキますよ~」と言って、お客さんにあらぬ期待を抱かせて損害を生じさせるのが一番の悪手ですので、そこは気を付けてくださいね。
それではここからは本題の知識の未経験の業務の知識の得方について話していきますね。
1、HPで検索をかけて見よう
一番最初にやるべきはHPでの検索です。これはなぜかというと、大まかな流れすらイメージできていない状態ではどんな行動をしていいのかすらわからないからです。
例えば会社設立であれば、定款作成や定款認証はできるけど設立登記は行政書士だできないことはわかります。まぁ、登記は司法書士というのは基本の「き」なんでそこがわからないのはちょっと問題ですが、うっかり勘違いしていることはあり得るので念のためにやはり調べるべきです。
ここで気を付けたいのは、ネットは間違った情報がかなり乱立しているので信頼できるサイトを確認することを忘れないでください。
一番信頼できるのは役所・公的機関のHPですね。その次が、ほかの士業の方の書いたHPやブログです(笑)
ただ、どんなに信頼できる情報発信者でもミスはあるので必ずその情報はあっているのかの確認をするためにネットの情報収集だけで終わらないように気を付けてくださいね。
ネットの情報だけで業務をやるのは素人でもできますからね。
2,必要な書籍を買いに本屋さんにダッシュ!!!!
HPでおおよその流れをチェックしたら、その情報があっているかどうか?そしてそれ以外に確認しておかなければならない情報の見落としはないか?関連書籍のチェックをします。
え?初めての業務だから関連の本がない?そりゃ当然です。だから、関連図書がある本屋さんにダッシュして買いに行きましょう(笑)
冗談半分に書いてますがこれ結構まじな話で、私は開業当初千葉県の柏市に住んでいたので柏の本屋さんにいつもダッシュで向かいました。その節はお世話になりましたよ。新星堂さんとか高島屋さんの本屋さんとかに。
で、それでも解決しなければそのまま電車に飛び乗って流山おおたかの森の紀伊国屋書店か東京の八重洲ブックまで走ってました。首都圏の特権です。
地方の場合はそれができないと思うのですが、アマゾンの取り寄せなどもAmazonプライム会員などであれば早く届きますし、電子書籍化しているものは電子書籍で買うという手もあるのでフル活用しましょう。
ちなみに本の選び方のポイントは、市販の本を3冊購入して読むことです。具体的に言うと、
- その業務に関する専門書
- その業務に関する一般図書
- その業務のお客さんの業界が分かる雑誌や本
この3冊です。この本を読んでおくことが非常に大切になります。
案外、実務書の難しい本は読んでいても、一般向けの図書を読んでいない人が多いんですが、お客さんの悩みは、一般図書の中に答えがあります。
その答えがほしくて依頼をしてくることが多いので、まずは一般図書を読んでおく必要があるんです。そのうえで、専門的な知識があれば、第2の手第3の手が浮かぶので、プロとして通用するようになる実力が付きます。
さらに、本当のプロというのは、自分の業界の知識だけではなく、お客さんの業界の知識を誰よりも知っている必要があります。
たとえば、相続の業務をやってますというのに、お寺の業界も葬儀業界も知らない。お年寄りの悩みも知らなければ、介護業界の知識もない状態で、信頼なんてつかめません。
外国人関連でも、中国人のサポートをするなら中国の知識は当然あった方がいいですし、中国人が日本で暮らす苦労なんかも知っておかないと本当の意味での実務はできません。
だから、この3種類を意識して情報集めするのが大事なんです。
これらの3冊の本を意識して読みながら、しっかりと勉強していけば、実務講座などに出なくてもしっかりと一人前のプロになれますので、頑張って勉強してくださいね。
ここまでがお客さんとの面談前にやるべき実務準備です。ここからはその後の動きになるのでちょっとだけ注意してくださいね。
3、王道の役所などの関連機関への調査
HPや本で情報を確認!無事に面談を終えて業務を受注したら今度は関連省庁に確認をします。
行政書士の仕事の8割は私はいろんな人に教えてもらうことで成立していると思っています。
というのも、許認可なども経験値がたまれば確かに自分の経験だけでできる部分はたくさんありますが、それでも、役所事のローカルルールが必ずあるので、事前に役所に根回しすることが大事です。
根回しというのは、『今回こういう許認可をとりたいのですが、こうこうこういうやり方で問題ありませんか?』という確認を担当にしておくということですね。
正直、めんどくさいかもしれませんが、その役所とのやり取りのストレスを回避するために依頼人は行政書士にお金を払うわけですから、それを自分も嫌だからやらないって、あり得ない話です。
ということで、役所の人と連絡を密にとりながら、情報交換していくというのが行政書士の役割なんですが、これは、初めての業務でも同じです。
役所に行くと、手続きのマニュアルや、役所のHPなどの書式例などがしっかり掲載されていることが多い行政書士業務。
その業務の情報などをすべて読み込んで確認したうえで、担当役場に訪問したり電話したりして、こういう手続きでいいか?こういう文面で問題ないか?という確認をしながら、先輩たちは実務経験を積んでいます。
たまに役所に怒られる人がいるようですが、それは、事前準備不足が原因が多いようで、さすがにHPやマニュアルに書いてあることすら読んでいない。または、その業務に関係ある法律すら読んでいないとなると、お話になりませんので、それはしっかり勉強してから、役所に質問に行きましょう。
役所の人と仲良くなると、長く行政書士を続けていくうえでメリットも多いので、間違っても役所の人に偉そうにしたリ、傲慢な態度をとらないようにしてくださいね
ということでここまでの3つで基本は初めての業務も対処できるはずです。ただそれ以外にも知識を得る方法があるので今回合わせて紹介しますね。
4、いざとなったら先輩と一緒に仕事をさせてもらえ!共同受任
自分一人ではどうにもならなーい!!!という業務も残念ながらあります。その時は先輩にお金を握りしめて依頼の協力をお願いするしかありません。
行政書士の新人さんの中には、行政書士の先輩や専門性の強い行政書士があなたのために時間を割いて業務を教えてくれると思っている人がいますが、そんな甘い考え方をしていると、すぐにあなたは廃業します。
行政書士はそれぞれが独立経営。つまりライバルです。
ライバル同士が手を組む時は、そこに必ず『利益』があることが条件となります。ここをおろそかにして関係を続けると、『憎しみ』が生まれ仲の良かった事務所同士が壮絶な戦いを繰り広げるようになるなんてこともありうるんですね。
この『利益』なくば人は動かないということをシビアに考えられてない人は、お金にルーズだったり、人の信頼を裏切ったりしてしまう傾向があるので、距離をとらなければならない人になります。
さらにそういう自分勝手な言動をしている人は、業界内で悪いうわさがあっという間に出回り、ブラックリスト化されてしまいますので要注意です。
先輩行政書士ははっきり言ってかなり忙しいです。仕事で一杯一杯です。その貴重な時間と知恵を借りるのに、お金一つ払えないのではやはり信頼はされませんよね。
この世の中で価値のあるものは『時間』と『信頼』です。それをお金という対価で買い取って貸していただいているということを忘れないようにだけ気を付けてください。
では、新人行政書士などが先輩や専門家の『利益』をどう提供するか?その一番わかりやすい方法が『共同受任』になります。
お客さんからもらった相談を、自分が信頼できる行政書士に持っていき、共同受任をしてもらいます(もちろんお客さんの許可も取ってね)。
その上で、お客さんからもらえる報酬は自分が勉強料として先輩行政書士に全部払うくらいの覚悟でいった方がいいです。ここでケチってしまうと、せっかくの善意の先輩行政書士さんが、「馬鹿にされた!!」と怒って敵に回る可能性があります。
先輩行政書士の鬼ではないので、それぐらいの心構えを見せてもらえれば、いろいろと教えてくれますし、かわいがってもくれるようになります。
そうすれば、後々、その払ったお金は楽に回収できるだけの知恵やテクニックを学ぶこともできるので、実務講座なんかに出るよりもよほど実力が付きますので安い買い物です。お金は使って信頼を増やすという大事な考え方を身につけてくださいね。
ちなみに、利益というのは、お金だけではありません。利益というのは、相手への経緯でもあるので、しっかりと先輩行政書士などにお金に変わる敬意を表明していると逆に仕事が回ってくることもあります。
私も現役行政書士時代、仕事が一人では手が回らなかったので、玄徳庵のOBさんたちと一緒に業務をやることが多かったです。そんなときも浮かんでくる名前にランキングがどうしてもあります。
一番最初に名前が浮かぶのが、『その業務にふさわしいプロの行政書士』そして次に浮かぶのが、『私たちに敬意をしっかり払ってくれていた行政書士』の順ですね。
その上で、業務の難易度やお客さんの希望などを踏まえて、どの先生に共同受任してもらうかなどを決めてました。
今回は、そんなに難しくない案件だし、私もサポートに回れるから、いつも一生懸命な〇〇さんに回そうかな~。なんて人間ですから、感情が動いたりするものです。
だから、玄徳庵のOBさんたちは初めての業務を私の事務所からの発注でやった方が結構います。
逆に玄徳庵の旧サロンで、メンバーさんにタダで情報を聞きまくって、自分がその情報で自分だけ稼ごうとしていた行政書士はそれがばれて、出入り禁止どころか、玄徳庵のネットワークで危険人物に認定されてしまったので、バッサリと人脈を失うことになりました。
先輩に協力してもらうときは、その先輩を敵に回さないで味方につける。そのためには、先輩に敬意をしっかり表明する。『利益』をしっかりと先輩に渡す。などして、共同受任を受けてもらい、仕事を教えてもらうのがおすすめですよ。
5、短時間でおおざっぱに情報を学べる実務講座
そして、最後に一応紹介しておくのが新人行政書士さんに人気の実務講座です。
ただ、私の中では、新人行政書士さんは実務講座はあまりお勧めしません。というのも、そこで学んだ知識の8割は使いこなせないからです。
学ぶときには、70%の知識が理解できている情報を学ぶのが一番効率よく、実務講座などを受ける前の契約書の書き方やその他基本的な役所への問い合わせの方法や、役所の管轄のイメージなどしっかりと頭に叩き込んでいる状態でなければ、せっかくのいい情報も、使いこなせないで終わります。
実は実務講座って、新人さんよりも中堅さんの方が役にたつ情報が多く、せっかくお金に時間にとかける割には効果が薄かったりします。
だから、ある程度1と2でしっかりと頑張ったうえで受講するのがおすすめで、いきなり実務講座から入る人ほど、『六法全書を読まない』『役所のマニュアルを読まない』で、その実務講座の情報だけ信じて業務をやるので、とんでもないミスをしたりします。
残念ながら、人は学びの場では、自分に都合のいい情報しか覚えていないことが多いので、どんなにいい実務講座でも、大事な話を聞かずに、自分に都合のいい解釈をして仕事に取り組んでしまうのが新人行政書士にやってしまうミスなんです。
だから、私個人としては、実務講座は経験値がある程度できてから学ぶ場だと思っています。
その他、いろんなところに実務のヒントはある
今回突然飛び込みで依頼が来た時の手法である「HPの検索」「本屋さんへのダッシュ」「役所への確認」の3つのほかに「先輩との共同受任」「実務講座」という5つの実務力アップの方法をお話ししました。
ただ、大事なのは法律の知識だけにとらわれずに広くお客さんのための情報を得る努力を普段からしておくことです。
業務を絞るというアドバイスがありますが、私は業務の絞り方を「人」でやっていくのが一番効率がいいと思っています。
高齢者の味方!であれば成年後見・介護とのトラブル防止・見守り契約・遺言・死後事務委任などたくさんの業務がありますが、業務で絞るとどれか一つしかできません。
でも人で絞るとその人の人生を丸っとサポートしてあげることができるんです。
だから業界なら業界。年齢なら年齢。性別なら性別。何でもいいですが、人で絞ってその人たちの目線でいろんな情報を得続ける努力をすることが本当の実務力アップにつながります。
法律論は今回話したような手法で解決できますが、本当のお客さんの悩みを解決するにはそういう法律以外の知識こそが大事です。
もちろん法律以外ではかかわらないというドライな接し方もありますが、これからの時代AIが発達しても「人」がサービスをする意味は、人と人の関係に価値があるからではないでしょうか?
そこも踏まえて広い視野で情報を収集することを続ける行政書士になってくださいね。
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