令和6年4月開始『行政書士職務基本規則』を細かく見てみよう!(7)

こんにちは。あなたの夢をかなえる目標達成コンサルタント!どっしり塾のこうめいです。

今日も行政書士の職務基本規則を細かく見るシリーズの続きをやっていこうと思います。

私自身も行政書士を引退して5年以上がたってますので、こういう条文を事細かに見ていくのは超久しぶりで楽しい反面めっちゃエネルギーを奪われてます(笑)

それでも時間をかけて見ていくだけの価値はある内容だと思うので、引き続き最後までじっくり見ていければと思ってます。。

ということで、前回は行政書士職務基本規則の35条までこちらで話をしました。まだ見ていない方はどうぞ

ということで今日からは第3章の依頼人との関係における規律36条以降を見ていこうと思います。

(職務取扱の順序及び迅速処理)
第 36 条 行政書士は、正当な事由がない限り、依頼の順序に従って、速やかにその職務を処理しなければならない。
2 行政書士は、依頼者に対し、事件の経過及び重要な事項を必要に応じて報告し、事件が終了したときは、その経過及び結果を遅滞なく報告しなければならない。
(預り品の保管)
第 37 条 行政書士は、事件に関して依頼者その他利害関係人から書類その他の物品を預かったときは、善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。
(預り金の保管)
第 38 条 行政書士は、依頼者から又は依頼者のために預り金を受領したときは、自己の金員と区別して管理し、その状況を記録しなければならない。
2 行政書士は、依頼者のために金品を受領した場合には、速やかにその事実を依頼者に報告しなければならない。
(受任行政書士等の間の意見不一致)
第 39 条 行政書士は、同一の事件を受任している他の行政書士又は行政書士法人との間に、事件の処理についての意見が一致せず、これにより、依頼者に不利益を及ぼすおそれがあるときは、依頼者に対し、その事情を告げ、意見の不一致を解消するよう努める。
(受任後の利害対立)
第40条 行政書士は、二人以上の依頼者があって、その相互間に利害の対立が生じるおそれのある事件を受任した後、依頼者相互間に現実に利害の対立が生じたときは、依頼者それぞれに対し、速やかに、その事情を告げて、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
(信頼関係の喪失)
第41条 行政書士は、事件に関し、依頼者との信頼関係が失われ、かつ、その回復が困難な場合には、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
(書類等の作成)
第42条 行政書士は、法令又は事件の趣旨に反する書類を作成してはならない。
2 行政書士は、作成した書類に記名して職印を押さなければならない。
(事件の中止)
第 43 条 行政書士は、受任した事件の処理を継続することができなくなった場合には、依頼者が損害を被ることがないように、事件の中止や他の行政書士に引継ぐ等の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
(事件の終了)
第44条 行政書士は、受任した事件が終了したときは、遅滞なく、金銭の精算、物品の引渡し及び預った書類等の返還をしなければならない。
(領収証)
第45条 行政書士は、依頼者から報酬を受けたときは、本会の定める様式により正副2通の領収証を作成し、正本は、これに記名し職印を押して当該依頼人に交付し、副本は、作成の日から5年間保存しなければならない。
(事件簿等の備付及び保存)
第 46 条 行政書士は、その職務に関する帳簿(以下「事件簿」という。)を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名等を記載しなければならない。
2 行政書士は、事件簿をその関係書類とともに、閉鎖のときから2年間保存しなければならない。行政書士でなくなったときも、また同様とする。
(依頼者との金銭貸借等)
第 47 条 行政書士は、特別の事情がない限り、依頼者と金銭の貸借をし、又は自己の債務について依頼者に保証を依頼し、若しくは依頼者の債務について保証をしてはならない。
(賠償責任保険)
第 48 条 行政書士は、依頼者を保護するために、職務上の責任について賠償責任保険に加入するように努める。
(公務等との関係)
第49条 行政書士は、公務員又は法令により公務に従事する者として取り扱った事件について、職務を行ってはならない。
2 官公署等に出向した者又は単位会等における街頭無料相談員等は、関与した事件を自ら引き受けるように仕向けてはならない。

今日は3章最後まで行こうと思います。さぁ、皆さん頑張ってついてきてね。

(職務取扱の順序及び迅速処理)
第 36 条 行政書士は、正当な事由がない限り、依頼の順序に従って、速やかにその職務を処理しなければならない。
2 行政書士は、依頼者に対し、事件の経過及び重要な事項を必要に応じて報告し、事件が終了したときは、その経過及び結果を遅滞なく報告しなければならない。

行政書士倫理の17条にある規定です。しっかり仕事はスピーディーにやって、しっかり報告しましょう!という当たり前のことが書いてあります。

でも、「事件の経過及び重要な事項を必要に応じて報告し」の部分、要は途中報告をしない行政書士は結構いて、それが原因でお金を払ったのに仕事をしてくれないと勘違いされて懲戒請求されてしまうことがあります。

私は現役の行政書士時代は会社員の時と同じようにお客さんにちょっとでも進行があったらガンガンメールで報告入れてました。

例えば会社設立の定款作成なんかを依頼されたら、本日商号調査に行ってまいりました。こんな結果でした。というように事細かに報告入れてました。

これは私が塾講師の時に子供さんの様子を保護者の方に毎月報告するようにしたことで、満足度が上がり親御さんからの信頼度と生徒さんが増えた経験から実践していたテクニックです。

逆に塾なんかも年に数回しか連絡入れない塾は多いんですが、そういうことをしていると退塾者がガンガン出てくるわけです。それくらい中間報告をこまめにするって大事なんですよ。

但し、電話だとお客さんに負担をかけるのでメールでやり取りができる場合の事例ですよ。

(預り品の保管)
第 37 条 行政書士は、事件に関して依頼者その他利害関係人から書類その他の物品を預かったときは、善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。

倫理の19条にあった条文ですね。いわゆる善管注意義務です。

行政書士は結構預かり物をするときがあります。そんな時に「預けた!預けてない!」トラブルが結構起こるんですよ。

ですので大事なのは預かり証を作ってお客さんに渡すシステムを作ることです。そして、返却すると同時に、返しましたとハンコを押すとお互いの勘違いを防ぐことができますよ。

というか、借りたものは極力まとめて返す方がトラブル防止にはおすすめです。

(預り金の保管)
第 38 条 行政書士は、依頼者から又は依頼者のために預り金を受領したときは、自己の金員と区別して管理し、その状況を記録しなければならない。
2 行政書士は、依頼者のために金品を受領した場合には、速やかにその事実を依頼者に報告しなければならない。

倫理20条にあった規定です。大事なポイントは自己の金員と区別すること。つまり、自分の普段使っている口座に入れたら駄目ってことですね。

死後事務委任などやっている行政書士さんは依頼人がなくなった後に葬儀費用やその他もろもろの費用も預かるので、一人一人の死後事務委任の口座を作り銀行の貸金庫などに預けるそうです。

しかも、自分が万が一先に亡くなってしまうことに備えて2人以上で受任して、その2人がそろわないと貸金庫が開けられない仕組みにして横領を防ぐようにしていると聞きました。

それくらいお客さんからお金を預かるって神経質にならないとダメなことなんですよ。

(受任行政書士等の間の意見不一致)
第 39 条 行政書士は、同一の事件を受任している他の行政書士又は行政書士法人との間に、事件の処理についての意見が一致せず、これにより、依頼者に不利益を及ぼすおそれがあるときは、依頼者に対し、その事情を告げ、意見の不一致を解消するよう努める。

これは今までなかった規定なのでおそらくこのようなトラブルがあったのだと思われます。

プロ同士の意見が合わないことはあります。私も何度か組んでいる士業の方と方針の違いでぶつかったこともありますが、お客さんに不利益をもたらす可能性が出るほどの意見の不一致でもめた覚えはないですね。

でもそれは、受任前にこういう方針でいこうと思うんですがよろしいでしょうか?ということをしっかりすり合わせしていたからであって、すり合わせをさぼるとこういうトラブルが発生するかもしれません。

後は受任した行政書士のリーダーシップ力とリカバー力がないと揉めることもあるかもしれませんので、その辺りもしっかり力つけていきましょう。

(受任後の利害対立)
第40条 行政書士は、二人以上の依頼者があって、その相互間に利害の対立が生じるおそれのある事件を受任した後、依頼者相互間に現実に利害の対立が生じたときは、依頼者それぞれに対し、速やかに、その事情を告げて、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。

これも今までない規定ですが、民法の利益相反に近い状態を想定していると思われるので、改めて気をつけましょう。

これ、顧問先のお客さんやお得意さんが少ないうちはいいんですけど、顧問先同士がある仕事でライバルになったりするとその両方から一時的に仕事を受けられなくなったりすることもあります。このあたりは仕方ありません。

(信頼関係の喪失)
第41条 行政書士は、事件に関し、依頼者との信頼関係が失われ、かつ、その回復が困難な場合には、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。

ここでいう信頼関係とは、お客さん側からの信頼関係というよりも行政書士側からの信頼関係ではないかなと思います。

お客さんがウソをついたり、あるいは協力をしてくれない、もしくは恫喝をしてくるなどいろんなトラブルが実はあって、それでも受任義務がある以上は業務を継続しないといけないのか??などと苦しんでしまう行政書士さんもいるので定められたんだと思います。

(書類等の作成)
第42条 行政書士は、法令又は事件の趣旨に反する書類を作成してはならない。
2 行政書士は、作成した書類に記名して職印を押さなければならない。

これは倫理の18条にあった条文です。うん。特に説明することはありません。

(事件の中止)
第 43 条 行政書士は、受任した事件の処理を継続することができなくなった場合には、依頼者が損害を被ることがないように、事件の中止や他の行政書士に引継ぐ等の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。

倫理の21条にあった規定です。ふわっと見ると、行政書士側の責任による依頼の中断を想定しているような気がしますが、「事件の中止やほかの行政書士へに引き継ぐ等」となっているので、お客さん側が理由の中断も含まれていそうです。

実はこの事件の中断ですが、地味にあります。

だから依頼の時にしっかりと事件の中断が発生した場合のルールというのを説明しておかなければなりません。特にお金をどうするか?ということですね。

お客さんが原因での中断の場合は、すでに行政書士が業務の大半を終えているのに突然中断することになってしまったなんてこともあり得ます。

例えば許認可の必要な業務で商売を始めようとしていたけど、資料を整えたり万全の準備を行政書士側がしていたとしても途中で資金繰りがうまくいかなくなって開業できなくなった。なんてケース。

あるいは、お客さんが突然あなたに依頼していたのに、ある程度書類が集まったところで自己申請に切り替えるから解任するね!なんて言い出すケースもあるようです。

だからしっかりと中断の時の対策は取っておきましょう。

(事件の終了)
第44条 行政書士は、受任した事件が終了したときは、遅滞なく、金銭の精算、物品の引渡し及び預った書類等の返還をしなければならない。

この規定いままでなかったんですね!今倫理を確認してびっくりしましたが、当たり前すぎて書かれてなかったのだと思います。

でも、このトラブル結構SNSとかで聞くんですよね。特に行政書士が行政書士に依頼した時に、アづけたものが返ってこないと怒っている行政書士さんを時折見かけます。

士業同士のやり取りも含めて、事件が終わったらしっかり原本などの資料は返す。そこは徹底しましょう。

(領収証)
第45条 行政書士は、依頼者から報酬を受けたときは、本会の定める様式により正副2通の領収証を作成し、正本は、これに記名し職印を押して当該依頼人に交付し、副本は、作成の日から5年間保存しなければならない。

領収書は5年間保存しなければならない。となってしますが、これは行政書士のルールです。税法上のルールではないので気を付けてください。

今確認したところ白色申告は5年でもいいようなのですが、行政書士は青色申告をすると思いますのでそうなると7年保存が一般的だと言われています。

うっかり5年で捨てないようにしましょう。

(事件簿等の備付及び保存)
第 46 条 行政書士は、その職務に関する帳簿(以下「事件簿」という。)を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名等を記載しなければならない。
2 行政書士は、事件簿をその関係書類とともに、閉鎖のときから2年間保存しなければならない。行政書士でなくなったときも、また同様とする。

倫理22条にあった内容です。この事件簿めちゃくちゃ怖いものなのでしっかり書きましょう。

実は事件簿の不備は行政書士をとりあえず逮捕するときの口実にされやすいところがあります。

いわゆる別件逮捕ですが、ほかのことで逮捕したいんだけど証拠が……。といったときに事件簿がちゃんと備え付けられていないとそれで捕まります。怖いです。

(依頼者との金銭貸借等)
第 47 条 行政書士は、特別の事情がない限り、依頼者と金銭の貸借をし、又は自己の債務について依頼者に保証を依頼し、若しくは依頼者の債務について保証をしてはならない。

倫理23条にあった内容です。まぁ、基本こんなことはしないと思いますが、行政書士側が借りるということで考えると、業務をやるうえでお金がどうしても足りないからと前借する人がいるのかもしれません。

ただ、一般的には前金として経費分などは先にいただくことが多いと思うので、お金を借りるということはあまり想定できないです。

その一方で「依頼者の債務の保証」をやってしまう行政書士はいるかもしれません。依頼者があまりにも不憫なので自分が立て替えてあげようとか、保証人になってあげようなんてやってしまうと地獄を見ることになるのでその辺の線引きはきっちりしましょう。

(賠償責任保険)
第 48 条 行政書士は、依頼者を保護するために、職務上の責任について賠償責任保険に加入するように努める。

倫理24条にあった「賠償責任保険にはいろう」という規定です。努力義務です。

行政書士賠償保険、一時期は結構不評で入っていても欲しい時に保証してくれない!!とか結構愚痴られていたんですが、最近そんな話減ってきている気がします。

私はこの数年中身を確認していないのでわかりませんが、しっかり読み込んで自分のやりたい業務に関係のある保険に入るようにしてくださいね。

(公務等との関係)
第49条 行政書士は、公務員又は法令により公務に従事する者として取り扱った事件について、職務を行ってはならない。
2 官公署等に出向した者又は単位会等における街頭無料相談員等は、関与した事件を自ら引き受けるように仕向けてはならない。

今までなかった規定ですが、「官公署等に出向した者」とあるように、公的機関が行政書士さんを委託職員のような形で雇っているケースはあるようです。

そういう方から今後の活動の相談を受けることもあるので、そこで私初めて知って驚いたものです。私にそんな情報来たことないと思って(笑)

で、そういう方が自分が公務の手伝いとして取り扱った事件をもとに行政書士として営業をかけるようになると個人情報の取り扱いの面だけから見ても問題が出てきてしまいます。

また、これ結構各県で対応が違うことで話題にもなっていた「街頭無料相談で受けた相談は自分の事務所で受注していいのか?」という問題。一切ダメな県も、多少ゆるい県もあったようですが、原則ダメということになるようですね。

それとも引き受けるように仕向けなければ大丈夫って方針何でしょうかね?

ということで第3章を見てきましたが、行政書士として開業したらこう動けばいいよということを教えてくれているようなくらい丁寧に書かれている気がしました。

わざわざ明記しなくても……。と最初は思っていたんですが、だんだんこれはこれでいいのかな?と思い始めてます(笑)

だって昔の倫理とか読んでも私たち開業する時全然イメージわかなかったもんな~。今回の行政書士職務規則の方がイメージしやすいのは間違いないですからね。

ということで今日はここまで。次回は第4章から入っていきます。

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