こんにちは。玄徳庵の阿部です。
さて、この時期にいつも書かなければならない二つ目のお話し。それが行政書士食えない論。
最初に言いますが、億単位稼ぐとかだとちょっと難しい人も多いと思いますが、サラリーマンくらい。具体的に言うと500万から600万円位なら行政書士は安定して稼ぐのがそんなに難しいわけではありません。
もちろん、行政書士の多くが、純粋な行政書士業務だけでなくそれに関連する一般企業のサポートなどを上手に取り入れての経営になるかと思いますが、要するに食えないというほどの資格ではないんです。
そして一番の魅力が、行政書士には無茶な拡大路線に舵を切らなければ廃業リスクがほとんどないということも魅力です。
というのも、自分が過信して事業拡大をしない限り、行政書士にかかる費用というのは格段に安いからです。
今回のコロナの件で分かるように、他の業界が「在庫」や「人件費」などの維持費で揺らぎまくる中、士業の世界はそこまで危機感がないのは、この維持費が非常に安く済むからです。
まぁ、最初に言った通り、無茶な経営して人をバンバン増やしたり、見栄で固定費をガンガン使いまくっている事務所は別ですが、多くのこじんまりした事務所はそういう世の中の変動にも巻き込まれにくい業種でもあります。
だから、私は厳しいことを言うんですが、行政書士でうまくいかない経営者は、他の事業をやってもうまくいかない可能性が高いと考えています。
とはいえ、行政書士で廃業する人が結構いるなんて言う理由を今回は私なりに分析していこうかなと思ってます。
それでは、行政書士が廃業する5つのポイントです
1、一番多い圧倒的な覚悟不足(半年で廃業する人)
さて、私が行政書士さんの指導をしていて感じるのは、私が起業したとき以上に覚悟がない人が多いなということです。
行政書士として開業し、自分の力で先輩やライバルとやり合い、勝ち抜いていかなければならない。
それは自営業になったら当たり前なんですが、新人行政書士の動きを見ていると、
- 妙に先輩行政書士にかまって構ってとアピールしている
- 妙に同期の行政書士同士慰め合いや仲良しこよしを続けている
- 他の同業者にちょっと嫌みを言われたくらいでへこたれて動けなくなっている
- ちょっと嫌なことがあると、司法書士や弁護士の資格の取得などに逃げる
- Twitterやブログなどでも実名で自分の発言に責任を持つ覚悟がない
これ、行政書士という特殊な世界なんで、こういう人たちがたくさんいるんですが、異業種で考えると恥ずかしいですよ。
たとえばあなたがタイ焼き屋さんを開くとして、先輩のタイ焼き屋に行って、タイ焼きうまいっすね。なんて先輩にこび売ってたらあっという間につぶされますよね?
ライバルのタイ焼きやさんと交流は大事ですが、お客さん来ないね~。なんて愚痴ったり、私なんてまだまだおいしいタイ焼き焼けませんからって言ってたら、お客さん全部持っていかれます。
それに、自分自身の顔を売るべきSNSで実名でもない。顔も出してない状態で発言していてもそれは、意味がないことです。
私は開業したての時の行政書士会の集まりで、開業3年を超えら行政書士が『集客の仕方を教えてください』と発言したという話を聞いたことがあり、衝撃を受けたのを覚えています。
え?自分のライバルの前で自分が全然役立たずですって宣言するの?それでライバルが何か教えてくれると思っているの?え?起業を舐めてるの????20代の当時の私でもそう感じたんですから、こんな発言しちゃいけないことわかりますよね?
要するに、経営者としての覚悟というのが、全くないにもかかわらず、何となく資格をとれたからなんか開業したら先輩たちが教えてくれるんじゃない?みたいな甘い考えで起業する人が多いんです。
そして、その一方で、会社員時代の癖が抜けないのか、お金を払うということをとかく嫌うのも行政書士の特徴です。
お金を払って相手の信頼と情報を買って、お金以上の利益を得るという当たり前の行動が分かっていない。お金を払うことで自分が損をすると思っている以上、商売人としては結果が出ません。
要するに完全な勉強不足・準備不足・そして、覚悟が何よりも足りていないんです。
こういう人たちが半年で廃業していくといわれる人たちの特徴になります。
自分がどんな行政書士になりたいか?一億円プレーヤーなのか?それとも地域に愛されるゆるい行政書士なのか?それくらいはしっかりとイメージしましょうね。
未来のビジョンがはっきりするだけでも意識は変わりますよ。
2、行政書士の世界の現実を知りめげる(3年以内廃業)
行政書士の世界はどんな世界?ときかれて、カバチたれのような世界をイメージしているなら、あなたは今すぐ行政書士をやめましょう。
カバチタレは、行政書士ではなく事件屋系の漫画です。
どちらかというと、同じ漫画家さんが書いていた『極悪ガンボ』などと近い考え方の行政書士さんたちの話なので、あんなドラマチックな出来事にはめったにあいません。
行政書士の業務というと、すごくすごく地味な作業の連続で、みんなにハンコをもらいに行くために頭を下げ、胃をきりきりさせながら嫌な役割もしなければなりません。
弁護士さんほどではないですが、本当に精神的にもつらい仕事で、そして、何よりもパソコン作業がものすごく多い。
だから、その地味さ加減にうんざりしてしまったり、逆に人間関係の板挟みで精神的につらくなったりと、行政書士の現実を知り『こんなつもりじゃなかった』と廃業してしまう人も多かったりします。
後は、同業者からの嫌がらせが非常に多いのも特徴的で、目立つと正義マンの法律業から揚げ足をとろうと、粘着されたりしますのでこの辺りのスルースキルも必要です。
3、精神を病んでしまう(いつでも廃業の可能性あり)
法律業は案外精神を病む人が多いです。というのも私の市民法務出身(相続・離婚系)からスタートしたので、よくわかるんですが、人の負のパワーを直に浴び続けるのが法律業です。
しかも行政書士は、弁護士さんと違い紛争禁止規定がありますので、行政書士に依頼が来る時点で依頼者さんは悩みを大きくしたくない。つまりもめないことを望んでいます。
となると、行政書士は、その相談相手全員が納得する落としどころをしっかりと作り上げまとめ上げる必要があり、全員の性格の把握はもちろん、今後のトラブルを予想してそれを防ぐ手も打たなければならないですし、かなり神経をすり減らしながら、お仕事をします。
これは、許認可でも同じで、許認可も、予定通りに申請が通らないとお客さんから損害賠償請求の可能性が出てきてしまいます。
あ、そういえば、一部損害賠償請求で行政書士事務所などをたたむことになる事務所もあるみたいなんで、それは注意が必要ですよ。
その上で、そういうリスクや恐怖とも戦う必要があります。
また、入管法や補助金などで違法行為に手を貸してしまった場合は、故意でなかったとしても逮捕される可能性もあります。
さらに、闇の組織などから利用されるリスクなどもあるので、人を常に疑って切る癖がついたりもするので結構気が休まりません。
よく、投資会社で働くときは電車に乗るときにホーム先頭にならんじゃいけないといいますが、これ、行政書士も同じで、逆恨みなどで脅迫や嫌がらせ、ストーカー行為をされることもあるので、心折れてしまう人もいるわけです。
強い心を維持できるように、自分の心をいやす何かが必要だったりしますが、それが見つけられない人はだんだん笑顔が消えていき、仕事ができなくなり、廃業するなんてケースは結構あります。
そして、さらに、行政書士のようなプレーヤー兼経営者の人は私生活の調子がもろにビジネスに反映される傾向があります。
私も、10年一緒にやってきたパートナーと別れたときに、仕事に手が付かなくなって事務所の廃業を考えてことがあります。
まぁ、この時はいろんなトラブルが目白押しだったので、生きる気力をなくしかけたんですよね。
そんなことすら起こりうるのが行政書士で起業するということです。だから、精神ケアは大事なんですよ。
4、行政書士の資格よりも楽しい仕事や稼げる仕事ができてしまった(5年以降)
そして、案外多い廃業理由が、この行政書士より楽しい仕事を見つけてしまうです。
行政書士という仕事のメリットは、『広くいろんな業界と携われる』ことです。ですので、仕事をしているうちに、今まで自分が知らなかった業界に触れることができるようになります。
私の廃業理由もこれで、私は、人を育てているのが楽しいんだと気が付いてしまいました。
その結果、行政書士で書類を作るよりも、いろんな人に自分の経験で学んだことを伝えていろんな人を幸せにしたいという気持ちの方が勝ってしまいました。
同じように、私の行政書士同期(10年越えの行政書士たち)の多くは、行政書士以外の会社を持っている人が多いです。うちの講師陣も実は事務所以外の会社の社長兼務の士業が何人かいます。
その多くは、行政書士も続けながらその仕事をしている人が多いんですが、行政書士でいることが足かせになるケースもあります。
私の場合はそれで、5年ほど前にまだ『アナログ教室』を目指していた時期に、関東に玄徳庵の教室を作ろうと準備をしてました。そしたら、それをかぎつけた行政書士に二重事務所と訴えられてしまったんです。
いや、全く行政書士業務をやっていない別の会社を作っていたわけですから二重事務所ではないんですが、そういう嫌がらせがちょこちょこ続き、めんどくせ!!!となって、行政書士会に説明をして、問題なしとお墨付きをもらったその日に、廃業届を出しました。
違法行為だと認定されたら戦う気でしたが、問題なしとしっかり話を聞いていただけたので、それならもう嫌がらせされないように廃業してしまおうと引退した形です。
私には、玄徳庵という一番やりたいことがあって、それで忙しいのに、行政書士の資格があるから他の行政書士に足を引っ張られるのでは、本末転倒ですからね。
こういう事例も結構あるんじゃないかなと思いますよ。
5、それでもやっぱりいる資金繰りがうまくいかなかった人たち
そして、最後に、いわゆる稼げない人たちですね。
正直言って今まで私の周りで行政書士で食えなくて廃業した人って、ほぼほぼ0なんですよね。
でも、他の行政書士さんのコンサルとかに入ってる人たちで、そういう悲しい結果になった人たちの話は聞いたことがありますし、実際目にしたこともあります。
ただ、そういう人たちは2パターンの人がいて、『お金使い過ぎ』か『行動しなさすぎ』のどちらかになります。
お金使いすぎは、私は今の行政書士成功者たちの責任が大きいと思っていて、俺は借金してでも云々。お金は使ってなんぼじゃ~!!!ということを教える人たちがいます。
それは間違っていないんですが、お金の使い方が分かっていない人は、借金して手元にお金が集まっても、ろくなことに使いません。だからそういう起業法を私はギャンブル起業と言っています。
運がいいと大成功しますが、運が悪いとあっという間に借金まみれです。それしか手がないような業種なら別ですが、行政書士などの士業は堅実な起業ができる数少ない事業ですから、その方向性も教えないと本来ダメなんです。
自分がたまたま金銭お使い方に知識があっただけなのに、お金があればうまくいくと勘違いさせる成功者たちの功罪だなと思っています。
とはいえ、ギャンブル起業の生徒さんは玄徳庵に来ないので、玄徳庵は食えなくて廃業ってほぼないんですよね。玄徳庵は堅実起業主義なので。
その一方、玄徳庵に多いのは、色々と自信がなく動けない人たち。これは頭がいい人たちなんですが、頭が良すぎて悪い方向にすべて物事を考えてしまう妄想の癖があります。
このパターンは、玄徳庵めっちゃ多いので、私は、このパターンを改善するのが得意になりました(笑)
とはいえ、自分で前に進む勇気を持たなければどんなにアドバイスしても、結果を出してあげることができないので、私がよくやっているのは、『行政書士以外のことでまず勇気を持つ』戦略。
私が、教育者としての自信があったからこそ行政書士として素人に毛が生えたレベルでも胸をはってセミナーできましたし、他の同業者にも評価してもらえました。
そう。何か一個自信があるものがあれば、生き残ることができるのが行政書士の世界です。
カンタンにあきらめずに、バイトをしてでもしがみついていくだけの価値がある資格なんで、あきらめないでくださいね。
最後に
ということで、私が今まで見てきた行政書士さんの廃業理由ですが、この5つが原因の人が多いんじゃないかなと思ってます。
そしてその中で見落とされがちなのが、やはり、『精神的な問題』になります。
私自身が今回3番の精神不調で廃業の恐れがあったので、その恐怖は、皆さんに語り継いでいるんですが、やはり開業数年たたないとそのつらさは見えてこないので、案外皆さんカンタンに考えてしまっています。
玄徳庵でも、自分が入院した。奥さんが入院した。親が倒れたなどの不測の私生活のトラブルで、苦しんでいる行政書士さんもいます。
あるいは、家族や配偶者の無理解で苦しんでいる行政書士もいれば、同業者にただ働きで使われたり、修行と称してこき使われてしまっていた人なんかもいました。
夜中に毎日のように依頼者から電話がかかってきたりとかもあるみたいですし、最悪、行政書士の新人さんや受験生からストーカーチックな電話がかかってきてしまう女性行政書士さん等もいるようです。
案外いろんなところに、罠は潜んでいます。
そういう中で生き抜くために必要なのは、『勇気』と『智恵』と『本当の仲間』です。
この3つをしっかり身につけて、同じ廃業するなら4番の『もっと楽しい仕事が見つかって行政書士を廃業した』という人が増えるのが一番いい未来だと思っています。
もちろん行政書士を続けるのはいいことですが、自分自身が進化して、楽しんでいくのも素晴らしい未来です。
ということで、行政書士の廃業理由を稼げないからだと思い込んでしまうと、大変な目にあいます。
実際に稼げればいいんでしょと暴走して、信頼をなくし、だんだん仕事が減っていく行政書士なんかも珍しくありません。
あなたはあなたの成功像をしっかり持って、その未来像に向かって頑張って進んでいきましょうね。
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